まんじゅしゃげ 

                 校倉 進作
                                     加治彰之曲

    9月1日  息子が入院した  生後1ヶ月半           まんじゅしゃげ
    病 名   縫合早期癒合症                                     
    2週間後  まんじゅしゃげの花が咲いた          アーー   ア--   ア--  ア--
                                                           
 (母)  ゆう  と私たちはお前を名ずけた          1 命を咲かせよう 真っすぐな茎に
         優しい人間になってほしい               命を咲かせよう 大きく
          そんな願いをこめて                 命を蕾ませよう 無数の花で
       けれども 優                          命を蕾ませよう 覆い尽くして
         おまえはあんまりやさしすぎた                               
                                     2 命を広げよう 赤く細い
       その朝 いつものように                   命を広げよう 四方に
         保育所へ預けられたおまえは            命を生きよう 小さな体で
       母にむかって はじめて                   命を生きよう 全身で
         バイバイ と手をにぎってみせた                             
                                     3 命を歌おう 父の願い
       さりげなく やさしく                      命を歌おう 母の願い
         おまえは 別れを告げた               生きることを 凝縮させ
       そんな おまえの                       まんじゅしゃげ 今花ひらく
         ことばにならない ことばが                               
            聞こえてくるようだ                hum ---   hum---
                                                         
 (父)  ぼくには ついに見せなかった
         おまえの バイバイ する姿が
       妻の語る ことばのかげで
         ゆらゆらと ゆらめいている